牛歩村日記? Like a snail's pace?

日々平穏に暮らしていれば、自から幸せになれると言いますが‥?いろいろ雑音が‥

“チンプの宿”青荷温泉(その3)

さて、不愉快な思い出は早々に片付けた方がいい。
記憶と言うのは不思議なもので、楽しかった事等は“喉元過ぎれば‥”って風化し始める。けど、マイナスの思い出はなかなかメラメラと脳の襞の奥底に食い込む。
これは善意のパワーより、復讐のパワーがより強大な事でも良く判る。( -_-)=з
やだやだ。

泊まる前にもっと良く調べるべきだった。でもなかなか商業主義的でない記事は高ランクに位置していないもの‥。まぁ、山の中の一軒宿にはよくある事で、僕も油断をしていた。
普通の娘出身の助役を喜ばせようと、メディアの賛美する所に行こうとしたのだけど‥

そうそう、早起きした僕らは助役が混浴露天風呂に入浴出来るかと下見に行った。
平日のためそれ程混んでいない為か、先客があればわざわざ後から『ごめんよ‥』ってオッサンが入ってくる事も無さそうだ‥。って憶測、好意的な‥

「居ないよ」って、言ったら「対岸にカメラを構えているヒトが居る‥」って言う。
なんと、大胆な!様子を見に行くと、確かにジッツォの三脚にブローニーのカメラを構えたオッサンが何か?を撮っている。「すいません。お風呂の方にカメラを向けないで貰えますか?」って僕にしては120%丁寧に聞いたら、耳の不自由な人なのか、判らないフリ?をしている。「向う行け!」って身振りでしたら退散した。景色を撮っていたのかも知れないけど、無神経にも程がある。宿が宿なら客も客だ‥。

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『子宝の湯』に僕が陣取ってもしょうがないけど‥。   この茂みの正面にカメラオッサンが居た。
そうそう、金庫?の扉にあった張り紙‥。チンプな“もてなし”ってこんな事だ‥

素泊まり宿では、早朝発となると前日に清算を済ませることが多い。
しかし、朝食が用意されている場合はソウは行かない。
なんで、朝食前に荷物を車に運び、厨房横の『おしゃべりルーム』だったかな?
囲炉裏のある部屋で時間を潰していた。
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助役兼会計役は家計簿?、僕は得意な三味線をかき鳴らす‥
帳場が開くのが7時30分と書いてあったので、時間を潰していたって事。
長火鉢や南部煎餅焼き器なんかがあって、ふぅぅんって感じ。
横の厨房では若いパシリがこき使われている。客が居るのだから戸を閉めておけばいいのに‥
日本人は自分が優位な立場に居る事を誇示する為に、人前で目下?のヒトを怒ることが多い。
僕ら客には見せないのが普通だけど‥

イメージ 5で、7時半になって助役に帳場で清算をして貰っておいて、僕は食堂に入って配膳する。

昨夜の通り、盆がなくて長い距離を「御飯」「汁」「お茶」と二人分を3往復。

朝にビール等を注文するヒトもないので、配膳口に宿のヒトの姿はない。




それにしても、昨夜よりも詰めて着席する様に配置されている。
写真から外れている部分の後ろの長テーブルは空席なのに‥
昨夜、暗がりで隣りで夕食を摂っただけなので、特に仲良くなっている訳ではない‥
“近すぎず、離れすぎず”って距離があるだろうに‥
どうせ、パシリにテーブルを葺かせれば済むのに、使っていないスペースは食後に葺かないんだね‥
清々しいはずの朝が、人混みと“チンプ”の灯油の匂いで息苦しい‥

灯油臭い中で食事を始めた。このテの宿に多い固形燃料の鍋を使用する宿は多い。
点火は宿のヒトが“チャッカマン”を片手に一巡するのが普通だけど、流石にチンプな宿はマッチが置いてあるだけ‥。全て客任せだ。

おかずをパクパク食べて、生卵を御飯に掛けて食べようとしていたら、
助役が「これは蒸し焼きなんだね‥」って言う。
見ると固形燃料に掛けていた小さな鍋の中で具が焦げている‥
「なんか変だね‥」って言っていた。  ら、隣の客が「それは卵とじにして食べるって言って居たよ」
って言う。
ふ~ん。って自分の子鍋の蓋を開けるとだし汁でグツグツ煮えた具があった。
‥‥ん?これは‥?これに生卵を混ぜて卵とじにするのか‥。ってはじめて気が付く‥
なんでその説明がないのだろう‥   ‥、ってはじめて気が付く‥。助役の小鍋には入っていない‥
辺りを見回しても誰も宿のヒトはいない‥

オカシイ‥。隣の客に「なんで卵とじって知っているの?」って聞くと、
「昨夜に説明していたよ」って言う。「後から来た人にも説明するかと思って居たけど、1回きりだったた。ぶん殆んどの客は知らないんじゃ無いですか?」だって。
って‥   なにそれ‥
なにそれ‥ 隣の客も教えてくれればいいけど、それは都会から来た“今どき”の“こんな宿”に宿泊する客にはそんな事をする程コミュニケーション能力があろうはずが無い‥

配膳口に歩み寄りパシリが居たので、「鍋にたれが入ってなかったからオカシイよ」って教える。
「そんなはずは無いですけど‥」 
「なんだい、卵とじにするらしいじゃない。何で説明しないの?」って僕は言う。
パシリはうろたえている。「作り直して‥」って僕。キョロキョロするパシリ‥お話にならない‥

「誰かまともな対応できるヒト居る?」って僕。
「チョッと待っていて下さい。作ります」ってパシリ。(青森弁)
席に戻って待ているけど、僕の固形燃料も既に消えかかっている。
助役もほほその一品を残して平らげている。
誰も宿のヒトはやって来ない‥。

僕は再度窓口に行って「早くしないと食事終わっちゃうよ。何してるの?」って厨房の責任者らしい頭に手拭を巻いた男が来たので「なんで卵とじの説明をしないの?」って聞いた。
「だし汁が入って居なかったのは私達の落ち度です、すぐ作り直させます。」
「だから、なんで卵とじの説明しないの?」って僕。
「説明はしました」
「後から来た客はみんな知らないよ」って僕。食事をしている後方の客にもどよめきが起こっていた。
「最初にちゃんと説明しました。何度も出来ません」って手拭の男。

要は一度定刻に説明していたら、後から到着した客はドウでもいいらしい。
「何度も説明出来ません」って大声で言っている。
後方の客も『卵とじだってよ!』って驚いている。でも、みんな良い子で僕と手拭男の成り行きを見守っている。
僕も配膳口のカウンターを引っ繰り返して『馬鹿野郎!』って一喝出来れば良いのだけど、助役が悲しがるので、「あんた達は間違えている、気が付かないのか?」って言って戻って食事を続けた。
僕の食事が終る頃パシリが新しい固形燃料と鍋を持ってきて火を付けた。
既に助役の食事はソレを残して終っている。
これの為だけに煮えるをまって居なければならない。

助役が言った。
「さっき、清算をしようと帳場で『スイマセン‥。』って言ったら、誰も居なくて、奥の厨房のヒトがみんなで食事をして居るのが見えたからそっちにもう一度『スイマセン‥』って言ったら、みんな無視して自分達の食事を続けて居たんだよぉ」って言う。
「土産売場の人が来て清算してくれたけど、厨房は無視だよ‥」
「(僕に)言うと怒り心頭でクレーム言うと思ったから黙っていたけど、酷い対応だね‥」ってこぼす‥

助役にこんなに気を使わせて、すまないって思いながらも、「さっきの厨房のヒトのハナシもみんなに聞こえたけど、酷いね‥。もう食べなくてもいいよ‥こんな鍋‥」だって‥
ああ、悲しい‥今まで、『宿の何もしない対応は価格が安いからしょうがない』って言い聞かせていたけど、トラブル?の時には一言「スイマセン」があっていいものなのに‥

僕は食事が終って居たので、帳場に行って話合っている男衆に「ちょっと対応が酷いのではないか」って言った。出て来た、30くらいの男ははいはい聞いていて、「それではどうすればいいのですか?」だって‥
ここで、「誠意を見せろ」とか言うと、『恐喝』とでも言われかねないし、既に清算を済ましている。
ひとつひとつ「ランプで暗くて不自由なのは結構だけど、その他がなってない」って教えてあげる。
出て来た男は『うるさい客だな』って顔をして「はいはい」言っている。
「ところで、アナタは誰でどんな立場で僕のハナシを聞いているの?」って聞くと支配人だって言う。
はぁ~?アンタが支配人のわけないだろ‥。経営者を出せ‥。って思ったけど、こんな時にペコペコ頭を下げる為に“名詞だけ”支配人なのは僕が金勘定だけの社長の代理人として工事をしているシステムと然程変わらない。

食堂で助役も食事が終った様子なので引き上げた。
こんな宿を選んだ僕が間違いだったね。
この一件がなければ、『何もしてくれないけど、不自由で珍しい宿』って事で流せると思っていたのに‥

後から後から客がやって来るから、リピータ-が無くても今の所構わないのだろう。
こんな宿が商売をやって行けるのだから、日本も末だ‥
メディアにはゴロゴロ喉を鳴らして対応しているのだろうから、良心的な記事はソコソコ発表されるのだろうけど‥

経営不振で銀行か消費者金融会社に乗っ取られた宿なら諦めが付くけど、酷いソフトだった。

トラブルには素直に頭を下げて、お互い気持ちのいい仕事が出来るように気を配るのが当たり前の僕の業界からすると180度懸け離れた宿で、こんな宿をチヤホヤするこっちの業界がのさばっている現状に失望した。
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