千葉 九十九里浜の海岸に大量のハマグリ “持ち帰らないで”

今月中旬以降、千葉県の九十九里浜の海岸にハマグリが大量に打ち上げられているのが見つかっています。原因は分かっていませんが、地元の漁協では漁場を守るため一般の人に勝手に持ち帰らないよう呼びかけています。

千葉県九十九里町の漁協によりますと、今月10日ごろから九十九里浜の海岸に朝、ハマグリが大量に打ち上げられているのが見つかっているということです。

18日の朝も九十九里町の海岸では波打ち際の周囲一面に大量のハマグリが打ち上げられていて、地元の漁業者らおよそ15人が集まって状況を確認していました。

九十九里浜全域には漁業権が設定されていて、ハマグリは一般の人が許可なくとることは禁止されていますが、中には持ち帰ってしまう人もいるということで漁協では海岸をパトロールしてハマグリを勝手にとらないよう呼びかけていました。

漁協によりますと、この現象は周辺のおよそ10キロ以上の範囲で起きていると見られるということです。

また千葉県水産総合研究センターによりますと、貝が大量に打ち寄せられる事例は数年ごとに報告されていますが原因は分かっていないということです。

打ち上げられたハマグリは漁協が保護し、沖合に戻すことにしています。

毎日散歩で海岸に訪れているという地元の男性は「過去に台風などで海が荒れたときに打ち上げられることはよくあるが、1週間ぐらい前から毎日打ち上げられている」と話しました。

ハマグリの量減り頭悩ます

九十九里浜はハマグリの一大産地で、地元の漁協は特に11月からとれるハマグリを「九十九里地はまぐり」として、ブランド化に取り組んでいます。

漁業者によりますと、今の時期、直売所では1キロ1500円程度で販売されていますが、今月中旬以降沖合の漁場ではとれるハマグリの量が減っているということで関係者は謎の現象に頭を悩ませています。

専門家「水温変化などで弱り 波で打ち上げられたか」

大量のハマグリが千葉県の九十九浜に打ち上げられていることについて千葉県立中央博物館で貝類の研究をしている黒住耐二 上席研究員は「現場は見ておらず、映像で確認しただけだが、本当に驚いた。ホッキ貝などでは報告はあるが、ハマグリが大量に打ち上げられる事例は聞いたことがない」としてはっきりとした原因はわからないとしています。

そのうえで「あくまで推測になるが、水温の変化などでハマグリが弱り、海底の砂の中から出てきたところに、強めの波が来て打ち上げられたのではないか」と述べました。

また、「打ち上げられているのが大きなハマグリばかりなのも不思議だ。ただ、人間でも大人と子どもで環境への対応力が違うように、ハマグリも大きさによって影響の変化の受け方が違う可能性はあるので、大きなものだけが影響を受けるような変化が起きたのかもしれない。逆に、いろいろな大きさのハマグリが打ち上げられていたけれども小さなものは波が引く際に海に戻されて、大きなものだけが残ったのかもしれない」と話していました。