牛歩村日記? Like a snail's pace?

日々平穏に暮らしていれば、自から幸せになれると言いますが‥?いろいろ雑音が‥

吼える落石

さて、『落石と管理者』ではすっかり話が逸れてしまったが、こっちの話を書こうと思っていた。
ソレは五竜岳の山頂付近のクサリ場を下山中の事。
僕らはお客様25名にガイド2人に添乗員1人。先行パーティはガイド1人添乗員1人お客様40人という長蛇の列。

『山頂で御来光』なんて考えてなかったけど、日の出の瞬間は何度見ても神々しいモノ‥
見れるのだったら見ておきたい。折角ならチョとでも高い所‥って思うのが“馬鹿と煙”
「さぁ、1時間で小屋に戻って朝食だ!」って下山を開始‥。
もう1人のガイドが先頭で、僕が中間、添乗員さんが最後尾。

でも、御来光を高い所で見ないで小屋で先に朝食を摂っていたグループが丁度登って来た。
ソレがこのクサリ場でかち合う事となった。
いつからか“登り優先”って言うのは“登りが辛いから”人道的に道を譲るって言う紳士協定みたいなものだけど、どっちも先を急ぎたい。
けど、進めないものは勧めない。ソレがクサリ場ってモノだ。立って待っていてもしょうがないので
お客様に「石落とさないようにね!」って言いつつ「座って待ってましょ」って岩陰で休んでいた。

そんな時に叫び声が聞こえた。はじめ道路で犬が轢かれた様な金切り声で聞こえ、次第にヒトの声である事が判った。誰かに落石が当たったのかと思った。お客様と顔を見合わせ耳を澄ました。
なにやら石が落ちて来て怒っている様だ‥。誰か落としたヒトを見たのだろうか、誰に向って叫んでいるのか、その男の声が裏返ってしまってよく聞き取れない。
どうも、誰にもぶつけられない怒りを放出している様だ。

先行ガイドから無線が来た
「○○さん、僕ら10人くらいで先に降りますから、そこで切って順番に願います。」「了解‥」
見下ろすとクサリ場でいつでも確保出来るように配置してお客を見守る先行ガイドの同僚が居た。
半数ほど通過して僕ら後半は広めの場所に待機する様に客に指示し、下から登ってくる他のグループを見守った。

イメージ 1黙って見ているといつまでも列は途切れない‥。たまりかねて、グループが分かれている隙間を見つけ
「そこの帽子をかぶったヒトまで登ったら、こっちも10人ほど降りますから!」
って声を掛けた。ら‥ 再び金切り声が響いた。
「お前がリーダーか! ★Щ$Эⅶд! £ЙЁФл!」ん?どうやら僕に向って叫んでいる‥。
『石が落ちて来て危なかったのに何の挨拶もない‥。どう落とし前をつけてくれるんだ!』
って内容らしい。てっきり怪我人でも居るのかと思って居たけど、ソウではないらしい‥
無視して下を眺めて「はい、じゃぁ降りますから!」って僕らのグループに声を掛けた。
下ではまだ何か喚いている。
「るせぇーな!朝からギャーギャー喚くんじゃネェよ!」って意味を紳士的に伝える。
どうやら火に油が注がれた様だ。更に叫んでいる。
僕らが降りようと思っていたのに、どんどん登ってくる。
「はいはい、順番でお願いしますね!今、降りますから!下で犬が吼えててお客さんが怖がって尻込みしちゃってますよ‥」って声を掛ける。男は叫んで居る。
「俺は○野県の元機動隊の○○だ。お前は誰だ。なんのグループだ!」あらら‥
僕は地元の組合のユニフォームをちゃんと着ていたのに、ソレを知らないとは潜りか‥何者だ?
まぁ、関らない方がいい。ん?見るとその男も客を連れている様だ‥まさか‥ガイドさん?

「てめぇ!昨日の晩から好き勝手やりゃがって何様だ!」おおっ!後から加勢と言うか、別のグループが怒っている。さっきまで山頂でにこやかに写真を撮っていた家族連れだ。お父さんが激怒していて子供が目を白黒させている。(藤子不二雄氏の漫画の様に‥)
なにやら昨夜から小屋での因縁が積もっているらしい。

特にクサリ場で乱闘にもならず擦れ違い、そそくさと下山を続けた。
「今度はこっちが下だから、石落とされない様にサッサと降りましょう」って皆で確認し合い危険箇所は素通りした。

いつかはこんな事があるだろうと思っては居たけど、やっぱりな‥って感じ。
自然発生?の落石にはやり場のない怒りを何かにぶつけなくてはならないだろう。
落とした人(加害者)を被害者が見ていても、多くの場合落とした人は自分が落とした事に気が付いていない事も多いだろう。それこそ、言いがかりなのか難しい所だ。
実際に落とした事を認めたら、過失致死罪なのか、無過失なのか、良く判らない。
以前先輩ガイドに聞いた事があったけど、そんな危険予知はしていない風だった。

派遣引率者にも過失があるのだろうか?
「危ないから気をつけろ!」って指示はするけど、本来なら「この様な事態が想定されるから、具体的に此処に気をつけよう!」って言うべきだ。なるべくその様に伝えている積りだ。

「石を落とすな!」って言っても、人間はミスを犯す生き物だ。寝るな!と言われて居眠りしなくなる電車の運転手も居ないだろう‥。

誰が悪いんだろう。もし、僕が“石を落としたヒト”を見ていてその人は「落としてない」と言い張り、でも当たったヒトは頭蓋骨陥没で即死だったりしたらどうしよう‥。
「絶対アナタが落とした。僕は見た。」って言ってあげられるだろうか‥。

どちらにしても、辺り構わず吼えるのは良くないね。
朝の爽やかな風が台無しだったよ‥。

さて、このヒト前夜の小屋で僕が同行の添乗員に
「僕らはガイド部屋を用意して貰ったから詰めちゃっていいですよ」ってお客の部屋に教えに行ったときに、廊下にデン!って蒲団を敷いていたのを僕は見ていた。
「なにあれ、邪魔じゃない」って言っていたけど‥
その布団の持ち主だったみたい‥
山なれしたヒトがトイレや渡り廊下で寝ていたりするけど、皆がザック等の荷物を置く廊下に蒲団を敷くとは‥そんなヒトなんだ。それでもお客を連れているんだ‥客も可哀想‥

ウチの添乗員らも注意して昨夜遣り合っているらしい‥
とほほ、教えてよ。要注意人物がいるって。

ちなみに山小屋の中の様子
イメージ 2イメージ 3
イメージ 4イメージ 5

イメージ 6ごめんなさい、僕らが用意して貰った部屋。
同じガイドさんでも廊下と大違いです。
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