牛歩村日記? Like a snail's pace?

日々平穏に暮らしていれば、自から幸せになれると言いますが‥?いろいろ雑音が‥

平成生まれ達と集団登山

久々に山岳ガイドの仕事をやった。
昨年は6回くらい仕事をしただろうか、今年は初めての仕事だ。
去年までの中高年の伯父伯母様に対して、今回は中学生の集団登山。
長野市の○○中学校の2年生。
イメージ 1集合場所の駐車場にバスで続々やって来た。
中学生は、体の大きな子も居れば、まだまだ小学生のような小柄な子も居る。
みんな、お揃いのジャージ姿。
先生達の激が飛ぶ。
生徒は170名程で5クラス、先生が10人弱、ボランティアさん?、看護士さん、旅行会社サン2名、で、山岳ガイドの僕らは3名。

山岳ガイドさんの仕事は、山中での行動の引率(道案内)と危険箇所の注意と確保、緊急時の救助や応急手当、自然解説等々だろうか、「楽しく安全に時間通りにお客さんを無事下山させる」ってトコかな?

イメージ 2今回の目的地は「唐松岳2,695m」
八方尾根スキー場から八方尾根を登り、唐松山荘を経て山頂へ、山荘で宿泊して夜は星空を観察なんかして、翌日は御来光を望み、下山。子供達は翌日から夏休みになるそうだ。

まずは、リフトを使って楽チン出発。
4人乗りリフトに「男子と女子が詰めて乗れ!」って先生は注意するけど、上手く一緒に乗ってくれない。まぁ、お互い意識し合うお年頃(*^m^*)

イメージ 3八方池山荘前から隊列を組む。
まるで夕方に街路樹に集まるムクドリの群れ
ピーチクパーチク賑やかだ。
先生の指令で、指揮係りという何人かが隊列を組ませている。
37人の1組を5班に分けて班毎に点呼して居る事を報告してくる。

いざ、出発!
ぞろぞろ、200人弱の隊列の出発だ。
日曜日の八方尾根は沢山尾の観光客やハイカーで賑わっている。200人の行列は邪魔な存在。

イメージ 4八方池着。しばらく雨が続いていたのに、土曜日曜って久々の晴れ間。
僕なんか早起きして洗濯をせっせとやって来た。

ここで、ドクターストップの生徒さんと別れる。彼らは麓を散策して翌日下山時に合流する。
と、我隊の一人の女子が「高所恐怖症で立ち上がれない」と言う。

「まさか‥」って思ったけど、ゴンドラ、リフトって乗ってきてもうフラフラ状態で、登山道を登って来て高度を上げて来た所で、ノックアウトとなってしまった。らしい。
先生が手を握って話しかけるけど、手がブルブルと震えている。返事もままならない。

お友達も「ファイト!」「行かないの?」って声を掛けて来るけど、もう身体を硬くしてしまっている。
ガイド的に考えれば、この先の道を考えれば、歩けるうちに下山して麓グループに加わって貰うしかない‥。実際そうなった。

けど、怖いと思う感覚は大切な事で高度間のある(スリルのある)感覚を快感と思っている人達はそんな危険を察知する感覚が麻痺している‥ともいえる。
僕はかなり麻痺していたけど、この冬怪我して学習した。

イメージ 5励まし励まし、ドンドン登る。
「あと何時間ですかぁ~」ってずっと聞かれ続け、何とか稜線へ、
ここで、山岳常駐隊という夏山の山岳警備隊の友人に逢う。
頑張って働いている。ご苦労様。

イメージ 6小屋に荷物を置き、山頂を目指す。
砂礫の稜線に高山植物の女王?「コマクサ」発見!
子供達に教える‥。→聞いてない(´ε` )
さぁ、山頂はもう少しだ!

イメージ 7山頂で何をするかと言えば、写真撮影だ。
記念撮影をする為に山頂を目指してると言っても過言ではないだろう。
先生は、良い写真が卒業アルバムに載せたい一心だろう。
僕も混ぜてもらう。

その後、雲は多いけどソコソコ山が見えるので、
「あっちが、みんなの住んでる長野市の山だよ!ここからこっちは富山県。あっちには雲がなければ富山湾が見えるんだよ!」って大きな声で説明する。→聞いてない

イメージ 8山頂を後にする。
後は夕飯を食べて、寝るだけだ。
やっと宿に入れると子供達も笑顔になる。

イメージ 9と、小屋の横で「雷鳥親子」を発見!
「ほらほら、雷鳥!」って子供らに教える→やっと反応を示す。
「ほら、雛が2羽いる!」
いつでも逢えるわけでもないので、いかに珍しい鳥に出会ったか、いかにこの出会いがラッキーな事なのかを説くと説明する。→判ってくれたかな?
後で聞いたら、他のクラスは雷鳥を見つけていなかったらしいので、大いに鼻を高くする。
でも、この写真じゃ見えないね(´_`*)

夕飯のカレーを食べているうちに大粒の雨が降ってくる。
星空観察は中止!先生と子供らはなにやら反省会をやっている。
他のガイドさんは既に寝てしまう。
旅行会社の添乗員さんや他の登山者と談笑する。
生徒の就寝後、先生方と明日の行動の打ち合わせをする。
先生の報告によると、体調を崩している生徒が数名。
頭痛、夕食のカレーの食べ過ぎで嘔吐、小屋の黴臭さのハウスダストで喘息の発作。
発熱多数。

憂鬱になる。
部屋に戻って、ガイドの先輩に色々体験談を聞き、明日の子供達の体調でどんな行動になるか考えると益々憂鬱になる。
なんとか無事に下山してもらいたい。

考えれば考える程、眠れない。
雨は屋根と窓を激しく叩いている。

イメージ 10翌朝、激しい雨の音で目が覚める。
僕らの食事の順番が廻って来るまで、外を見ながらため息をつく。

食後ミーティングして宿の人にお礼を言って、雨具を着て横殴りの雨の中外に出る。
子供達の装備や服装をチェックする。
最近は短いソックスが流行っている様で、みんなくるぶしが風に吹かれて寒そう。
良さそうな雨具を着ている子も居れば、自転車通学用の雨具の子、透明なビニール合羽の子、とそれぞれだ。ビニールの雨具は雨が防げても自分の汗で直ぐビショビショになるだろう。

稜線を回り込むと、風がなくなった。
富山側からの風は長野県に来れば、山の陰になってウソのように気候が変わる。
さっきまで怒鳴っても聞こえなかったのに、小鳥の鳴き声なんかもピチチチッって聞こえる。
山での気候の変動と、風に当たる事での体温の低下、等々ありがたい話を説教する。
→聴いてくれたのかな?

イメージ 11奇跡的に特に大きな転倒者、脱落者もなくリフト乗り場に予定よりも早く到着。
奇跡的って言っても、ガイドさんや先生やみんなで事故の無いよう、細心の注意を払っていた賜物なんだけどね。
あとは、ビショビショになった子供達に早く着替えをさせてあげたかった。
あのまま帰ったら体温奪われて風邪ひくよ!
先生方は、高級雨具を着て濡れている人はあまり居ないみたいだったけど、子供達はグッショリだ。

「生徒さんの乗ったバスを手を振って見送って下さい」って、添乗員さんに言われたから、雨の中突っ立っていて待っていたけど、バスの中は既に大盛り上がりで僕らが手を振っているのに気が付いた子供は何人も居なかった様な‥(´_`*)

まだまだ、面白い発見があったので機会があればまた書こうかな?

久々の山登りがガイドの仕事だったけど、自分の体力的にはかなり回復していると思った。
でも、僕の身体を心配してくれる人も居るので、今年は今回だけとしょうと思う。

また、旅行会社とガイドの契約も今一つ不明瞭な所が多く、有事にはかなり立場が怪しくなる事もあると思う。リスクの高い仕事だ。